無農薬でやっている中で、比較的ラクに無農薬でできる作物がある一方で、無農薬ではどうしても厳しい作物がいくつかありました。
「農薬は、がん、発達障害、免疫疾患、ホルモンの異常の原因」ということを主張されている方がいます。この主張の是非はともかく、過去の農薬にはそれらとの結びつきが否定できない危険な化学成分があったのは間違いありません。
しかし、無農薬で栽培して病害虫の影響を受けた不健康な作物と、農薬を使用して元気な作物を比較した時、元気な作物の方が消費者に好まれる傾向があります。虫が発生した場合、人力で長時間かけて虫の駆除をする費用は農薬を使う場合と比較にならないほどのコストがかかります。そのコスト分も含めた価格の提供で売れるのか、という大きな問題があります。
もちろん、無農薬で元気な作物を作っている農家の方もおられます(特に、有機農業を科学的にアプローチしている小祝政明氏の理論は大いに参考にして一部実践させてもらっています)。その一方で、農薬を使った栽培をしながら、80歳を超えてまだまだ健康的な現役の農家の方もおられます。農薬を使う・使わない、そのどちらが正しいわけでも間違いでもない、と最近は思います。
野菜を作るうえで「無農薬」が最大目標ではなく、「元気で美味しい」作物を作ることを最大目標に据えるべきで、それに加えてできるだけ安価で大量に提供することを優先して考えています。その過程で、無農薬の実現を目指すべきと考えるようになりました。
現在、どうしても病害虫の症状がでてきた時、あるいは予想される時、下記の対応をしています。
- 防蛾灯や粘着シートなどの物理トラップ、月桃・除虫菊を使った自然由来物農薬、生物農薬を使う。
- それでも難しいと予想される場合、有機JAS認証農薬を中心に適切な農薬を適切な時期に適正な希釈で使う。
- 効能の強さや他への影響を考慮して、ネオニコチノイド系農薬、殺虫殺菌剤は使用しない。
ですので、作物によっては無農薬の作物もありますが、全てが無農薬栽培ではない、というのが今の現状です。もちろん、病害虫の症状を出ないように常に改善していくこと、作物の安全に最大限の配慮をすることは言うまでもありません。