風の草刈りを実践してみて

今年は、冬の寒さがそれほどなく、春先に雨が続いたので草の成長が早いです。

昨年、水害被害を受けられた朝倉の梨園でおこなわれた大地の再生講座に参加しました。

大地の再生講座の主催者である矢野智徳さんは、実践型の大地のドクターでした。大地のマクロとミクロをじっくり観察して、そこから大地が呼吸できていない所や水脈の問題点を見つけ出し、それを自然の摂理にしたがって改善していくやり方でした。その中で「風の草刈り」のやり方を学びました。

昨年は、一部のエリアで試験的に風の草刈りを導入しましたが、今年の草刈りは、 全面的にこの風の草刈りでおこなっています。

通常の草刈りでは草の根本から刈っていく方法が一般的ですが、この風の草刈りは、その土地の風の流れを考えながら、イネ科の背の高い草を少しずつ背を低くしていきながら背の低い多様な草を増やしていく方法です。ある意味、その土地に風を通していく草刈り方法なので、その名の通り「風の草刈り」です。

この方法の良いところは、普通の草刈りに比べて労力がかからないことです。チップソーなどで草の根本を切った場合一時的には良くても、さらに別の強い草が生えてきて、その対処に苦労することが多いです。

また、これまで、刈刃(チップソーと二枚刃)を多く使っていましたが、山の畑は岩や石が多いため刈刃の消耗も激しく、 刈刃を研磨する時間に無駄を感じていました。加えて、刈払機に石や岩が衝突したことが原因による故障がありました。

風の草刈りはナイロンコードでおこなうため、そのような研磨や買い替えが発生せず、刈払機の故障率も低くなると考えられるため、時間・コスト面でも優位性があるように感じます。    

そして、何よりこの「風の草刈り」の素晴らしいところは、大地の空気・風の流れを草木などの自然の様子からしっかり観察するようになることです。

より人間の五感を研ぎ澄まして自然に接することができるようになることが、この草刈り方法の一番の効能かもしれません。

風の草刈り前
風の草刈り後